ハードロック
60年代の終わりにレッド・ツェッペリン、ジェフ・ベック・グループが登場しブルース・ロックの演奏者たちは次第に、「ブルースをよりロックらしく演奏する」ことに重点を置くようになった。これは、ブルースをよりヘヴィで電気的な音で演奏することを意味する。前項で触れたエレクトリックギターのエフェクター類の発展や、大音量の出せるPA等も、これらの新しいサウンドを支えた。こうして生まれた潮流がハードロックである。特にレッド・ツェッペリンは、マスコミに露出することを嫌い、メディアにあまり登場しなかったにもかかわらず70年代、世界で最も成功したスーパースターとなった。ディープ・パープル、グランド・ファンク・レイルロード、ブラック・サバスらが後に続き、1973年にはその影響を受けたクイーン、キッス、エアロスミスがデビューし、スージー・クアトロがハードロックに転向した。
同様に60年代の終わりには実験的サウンドへの志向が強まり、長尺の曲や、哲学的なメッセージを込めた歌詞、楽器の演奏技術を極限まで高める風潮を呼んだ。この傾向はヨーロッパ、特にイギリスにおいて強く、シンセサイザーやメロトロンをフィーチャーし、クラッシックをバックボーンに高度な技術を駆使したロックをプログレッシブ・ロックと呼ぶ。代表的なバンドはピンク・フロイド、イエス、キング・クリムゾン、エマーソン・レイク・アンド・パーマー、ムーディー・ブルース、ジェネシス等である。
この時期にはウッドストック・フェスティヴァル(ラテン・ロックのサンタナが華々しく登場)やモンタレー・ポップ・フェスティヴァルなどの大型野外イベントが開催され、ロックの社会的影響力が大いに増した。
こうした時代を象徴するのが、シンガーソングライター、スワンプ・ロック、サザン・ロックといった動きである。シンガーソングライターというのは本来、自作自演の歌手という意味だが、ここではパーソナルな心情をアコースティック・ギターを中心とする控え目なサウンドに乗せて歌う人たちを指す。ジェームス・テイラーやキャロル・キングがこのムーヴメントの中心である。1960年代のロックの社会変革的な思想に疲れた人々の耳を、彼らのサウンドは優しく癒したのである。
スワンプ・ロックとサザン・ロックは、カントリー・ロックと同様、土の香りへの回帰を意図するサウンドである。この動きもまた、それまでのひたすら革新を求める動きとは異なり、聴き手に安らぎを与えるものとして機能した。スワンプ・ロックはロサンゼルスで活動するデラニー&ボニーやレオン・ラッセルを中心とした動きだが、イギリスのジョージ・ハリスンやエリック・クラプトンも同傾向のサウンドへと向かった。サザン・ロックもサウンドの傾向は近いが、アメリカ南部を活動拠点とするオールマン・ブラザーズ・バンドやレイナード・スキナードの音楽を特にこう呼ぶ。
一方で1960年代後半に誕生したカントリー・ロック、ハード・ロック、プログレッシブ・ロックといった動きはこの時期にも盛んで、1960年代の思想的背景を失ったことにより、むしろ商業音楽としての自由度を確保したとも言える。また、この時期にはロックの持つある種の過激さを極度に薄めて、むしろポップスと呼んだ方が適切とも言えるカーペンターズやブレッドが登場し、ロックの裾野を広げた。
1970年代前半、イギリスではファッションと演劇性を重視したT・レックス、デヴィッド・ボウイらのグラム・ロックが人気を集めた。
また1974年から1977年、ティーンエージャーのアイドルとしてベイ・シティ・ローラーズが第二のビートルズと呼ばれるほどの人気を得た。ロックはポピュラー音楽の中心としての地位を確実なものにしていった。
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